前回の記事に書いた英語の「臨界期」について
興味深い事例があったのでご紹介します。
2000時間を超えたのに・・・
<ケース①>「花ちゃん」(仮人)の場合
花ちゃんはご両親の仕事の都合で
生まれた時から小学校に入るまでの約7年間アメリカで育ち
現地校(幼稚園にあたるプリスクール)に通っていました。
英語環境は余裕で2000時間を超え
英語でのコミュニケーションは問題ありませんでした。
そして小学校入学と同時期に日本へ帰国。
地元の小学校で、日本語での生活が始まりました。
すると・・・
みるみるうちに日本語でのコミュニケーションをマスターし
あれだけ日常的に使っていた英語を
1年後にはほとんど忘れてしまったのです。
☆2000時間を超えて英語を母国語のように話していたとしても
「臨界期」を完全に日本語の環境で過ごすと
「日本語脳」がいっきに優位になり
英語を忘れてしまうということも少なくないようです。
英語脳を持った日本人に
<ケース②>「太郎くん」(仮称)の場合
5才の時にご両親の仕事でアメリカに引っ越しをし
小学時代からアメリカの現地校に通っていました。
家族以外の人たちとは完全に英語で会話をしていました。
それから中学2年生のタイミングで日本に帰国し
地元の公立中学校へ転入。
太郎くんは必死に日本語を勉強し
言葉でのコミュニケーションはなんとか出来るようになりましたが
日本の学校や習慣に馴染めず
次第に登校を拒否するようになりました。
結局、日本のインターナショナルスクール(高額!)に編入した後に
単身アメリカへ留学。
その後アメリカで就職し、今に至るまでアメリカで過ごしています。
「臨界期」を英語圏の世界でドップリ過ごしたので
その後日本の環境に入っても英語を忘れることはありません。
それどころか、「英語脳」が強すぎて日本の社会に馴染めず
日本人でありながら日本で生活することに違和感を覚えるようになったのです。
臨界期というタイミング
花ちゃんの話は本で読んだ話ですが
太郎くんの話はお母様から直接聞いた話です。
花ちゃんも太郎くんも同じ「7年間」をアメリカで過ごしたのに
そのタイミング(年齢)が違うことによって
結果がこれほどにも異なったということです。
「臨界期」というのは子供の「言語」だけでなく
「アイデンティティ」や「考え方」を決める重要な時期であり
長い人生の中でも最初で最後の特別な時期なんだな〜
と実感するエピソードでした。
この「臨界期」をどのように過ごすか?
10歳前後というのは
まだまだ自分の意志で環境を選べない年齢です。
親が準備してあげる環境が
子供の言語脳や人格形成にとても大きな影響を与えるのだ
ということを頭の片隅に置いておきたいですね。
何気なく過ごす毎日ですが
長い人生の中である意味“重要な時期”ってほん一瞬です^^
今は小さい我が子も
中学校に入る頃には自分の意志をしっかり持つようになり
親がいくらお金を出しで環境を整えてあげようと思っても
なかなか受け入れてもらえなくなるでしょうね^^;
そう考えると
親がある程度レールを敷いてあげられるのも
臨界期位までかもしれません^^