前の記事でフォニックスには次の2種類があると書きました。
・アナリティック・フォニックス (analytic phonics)
・シンセティック・フォニックス(synthetic phonics)
ではもっと具体的に、 出来るだけ分かりやすく説明したいと思います^^
アナリティクス・フォニックスって何?
「アナリティクス」とは「分解する」という意味です。
☆具体的学習例☆
例えば「a」の音を教える場合は apple, ant, ankle などネイティブの子供たちが既に知っている aがつく単語を並べて「a」に着目し 法則によって変化することを学んでいきます。
☆イメージ動画☆
A is for Apple, A, A, Apple♪ B is for Ball, B, B, Ball♪
☆特徴☆
- 単語を見てから音を理解する
- 「A,B,C・・・」の順に学習
- 「A」は「(名前)エイ」であり「(音)ア」であるということを同時に説明
- 日本で今まで普及してきたフォニックスの代表的な学習法
- a〜zまでの学習が終わるまで基本的には単語を読み書きしない
- ある程度の英単語を知っていることを前提に文字の音を教えていく方法
☆デメリット☆
- 予め綴り・発音・意味を知らないと導入が難しい
- 基本的には丸暗記なので初見の単語は読めない
- 組合せや例外まで全てを学ぶのに時間がかかる
- 暗記に頼る為に付いて行けない子が出てくる
シンセティック・フォニックスって何?
「シンセティック」とは「くっつける」という意味です。
☆具体的学習例☆
1つ1つの音から学び、段々くっつけて単語を理解していく方法です。
例えば・・・ 「s」は「ssss.....」とヘビが怒っている音。
「a」は腕を登ってくるアリを「a! a! a!」追い払う声。
最初に「s, a, t, p, i, n」の文字を習った時点で、 これらの知っている文字だけを組み合わせて「sit」「pan」などの単語を読んだり、書いたりしていきます。
☆イメージ動画☆
Alphablocks: The Alphabet
☆特徴☆
- 音を聞いてから単語を理解する
- 「A,B,C...」順ではなく「S,A,T...」順
- 大文字ではなく小文字から指導
- 「s」なら「ス(音)」だけまず教える (「エス(名前)」は後から)
- 3文字覚えた時点ですぐに単語読みをスタート
- 暗記に頼らず初見の単語を自分の力で読めるようにする方法
- フォニックス学習法(教授法)の中では新しいメソッド
☆デメリット☆
- 音から綴り字を推測し正しく発音できたとしても、 その単語の意味が分からないということが起こる。 (例:catと聞いて「cat」と正しく書き読めたとしても「catってどういう意味?」となり得る。そこは並行サポートが必要。)
「あ・い・う・え・お」学習に似ているシンセティック・フォニックス
私達が小学生の時、国語の授業でいきなり単語や文章を読みましたか?
多分、「あ・い・う・え・お」と1文字ずつ読み、書く練習をしたと思います。
五十音を全て覚えた後で、 それらを組み合わせて単語、そして文章・・・と 段々範囲を広げて読み書きが出来るようになっていきましたよね。
「つ」「く」「し」という3つの文字を学べば 「くし」「くつ」「つくし」という単語が読み書き出来る様になる、という感じで。
五十音の習得が終わって初めて 「は」は助詞として使うときは「わ」と発音するとか 「お」の発音でも助詞の役割は「を」になるとか・・・ 例外を加えて学んでいきました。
シンセティック・フォニックスは この「ひらがな」や「カタカナ」の文字学習にとても似ています。
最初に「s,a,t,i,p,n」という音を覚えますが 最初の3〜4文字覚えた時点で 「it」「sit」などと組み合わせてすぐに読めるようにしていきます。
基本の音を学び終わったら ルールに当てはまらない「ひっかけ単語(Tricky Word)」や 「train」と「play」の様に同じ/ai/の音だけど綴が違う同音異綴を学んでいきます。
アナリティクス・フォニックスとシンセティック・フォニックス、 どちらが良いとか悪いということではなく 学習段階や好みによって向き不向きは様々です。
アナリティクス・フォニックスはこんな人にオススメ
・既にかなりの単語数を丸暗記している受験生や大人など
☆メリット☆
「アナリティクス・フォニック」を使って知らない単語や忘れた単語を推測できる。
☆代表的な教材
mpi松香フォニックス
シンセティック・フォニックスはこんな人にオススメ
・ほとんど英単語を知らない子供
☆メリット☆
音から綴り字を推測することが出来る様になるので、単語の丸暗記から逃れられる
☆代表的な教材
ジョリーフォニックス